ピンク&グリーンに 在来線福井区間の車両デザイン 「ハピラインふくい」に16編成譲渡

北陸新幹線の延伸開業に伴い福井県内の並行在来線を運営する第三セクター「ハピラインふくい」(本社:福井市)は、開業日を正式決定し、車両や駅名標のデザインも公表しました。

新幹線延伸開業に伴い経営分離される北陸本線を運行しているJR西日本521系電車(nozomi500/写真AC)
新幹線延伸開業に伴い経営分離される北陸本線を運行しているJR西日本521系電車(nozomi500/写真AC)

北陸新幹線の敦賀延伸と同日に開業

北陸本線の金沢駅〜敦賀駅間は、同区間で整備が進められている北陸新幹線の並行在来線になることに伴い、JR西日本から運営が切り離されます。石川県内の大聖寺駅〜金沢駅間は、IRいしかわ鉄道の延伸区間として組み入れられます。

敦賀駅〜大聖寺駅間については、福井県と県内全市町などが出資して設立したハピラインふくいが第一種鉄道事業者となって運営を担います。公募によって決まった社名は、福井県の“福”を「ハピネス(幸せ)」の言葉で表し、人と街を「線(ライン)」でつなぐことで福井の未来を創っていくという思いが込められています。

JR西日本とJR東日本は2023年8月30日(水)、新幹線の延伸開業日を2024年3月16日(土)とすることを発表しました。これを受け、IRの延伸区間とハピラインについても同日に開業することが正式に決まりました。

経営分離に伴いJR西日本は、土地や線路、駅舎などの鉄道資産を約60億円、車両16編成を約10億円でハピラインに譲渡します。車両は北陸本線で運用されている521系で、現在は青と白の帯を施したデザインです。リニューアル後はハピラインのロゴと同じピンクとグリーンが使用され、2色の帯と花びらを描いたデザインとなります。

また、同社所有となる17駅(敦賀駅・大聖寺駅を除く)の駅名標についても、車両に準じたピンクとグリーンのデザインへと装いを新たにします。いずれも「ハピラインらしい、明るい、親しみやすい、華やかなデザインに仕上げた」とのことで、開業日以降に順次導入される予定です。

(ハピラインふくい521系車両と駅名標のデザイン、現行と開業後の運行本数のイメージなど詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】ハピラインふくい521系車両と駅名標のデザイン、現行と開業後の運行本数のイメージ

0本になる特急の代わりに「快速」新設?

北陸本線には現在、関西・中京方面からの「サンダーバード」「しらさぎ」をはじめとする多くの特急列車が走行しています。新幹線開業後はすべて敦賀駅での折り返しとなり、ハピライン区間の特急運行はなくなります。ハピラインは、貨物列車以外は自社の普通列車のみでダイヤ作成の自由度が高まることを活かし、利用しやすいダイヤへと改善することを計画しています。

通勤・通学時間帯を中心に福井駅発着列車の増便が検討されており、特に利用が多い武生駅〜福井駅間は昼間も現行の毎時1本から2本に増強したい考えです。また、敦賀駅〜福井駅間では8本程度の快速列車を朝夕に増便扱いで設定し、普通列車より10分程度速達化して現在の特急利用者の転移を目指します。新幹線や他の路線との接続の考慮や、均等間隔によるパターンダイヤ化も検討されます。

ハピラインは今後の収支均衡を図るため、運賃水準を現在のJR運賃の1.2倍程度に引き上げることを目指しています。ただし、移管から5年目までは激変緩和のため、現行の1.15倍程度の水準となるよう調整します。なお、通学定期運賃については1.05倍程度に抑えられる見込みです。ハピラインとJR・IR区間にまたがって利用する場合の負担抑制のため、乗継割引制度も導入される予定です。

開業時のダイヤや運賃は、2023年冬頃に公表される見通しです。